2011年5月15日日曜日

【中国】「琴(きん)?7億円で落札、バイオリン抜き楽器で最高額

 北京市で行われたオークションで、宋?徽宗の御物で清?乾隆帝の「松石間意」の銘がある「琴(きん)」が、1億3664万元(約17億140万円)で落札された。これまで「高価な楽器」としては17?18世紀ごろイタリアで製作されたバイオリンが有名だったが、取り引きの最高価格は4億円程度。「松石間意」は、世界最高価格の楽器になったという。中国青年網が報じた。 エルソード rmt


 (写真は11月に江蘇省蘇州市でオーディションに出された明代の琴「無底古琴」。5800万元(約7億2200万円)で落札した)

 「琴(きん)」は孔子や李白なども愛した、由緒ある楽器。日本の「お琴(おこと)」とは異なり弦は7本。琴柱(ことじ)はなく左手で弦を押さえることなどで、音高を作る。日本ではそれほど知られていないが、世界的
には「中国を代表する楽器」と認識されており、世界遺産にも登録された。漢詩などに登場する「琴」は、「こと」ではなく「きん」を指す。

 上流階級に愛された楽器であるため、中国大陸では文化大革命期などに「批判の対象」となった。台湾や香港、海外華僑などの間では一貫して重視されており、古い名器が高額で取り引きされていた。中国大陸でも
1980年代ごろから再評価されることになり、琴を求める裕福な人が増えたことで、価格が跳ね上がった。1980年代には中国大陸では数万円で取り引きされたレベルの楽器が、現在では1000万円でも入手が困難なケースがあるという。

 バイオリンでは、伝説的な製作者として知られるストラスバリウスが手がけた楽器「ハンメル」が2006年、米ニューヨークで
開催されたオークションで、354万ドル(約4億円)で落札された。「松石間意」の落札価格は、「ハンメル」を大きく上回り、楽器として世界最高額とされる。

 「松石間意」は1120年の製作。文人皇帝として知られる宋?徽宗の御物であり、清?乾隆帝の銘があることで、さらに人気を呼んだ。宋代の琴は現在でも十分に演奏でき、むしろ後世に作られた楽器
よりも「演奏効果」がよいものが多い。

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◆解説◆
 「琴」は、他の楽器との区別を分かりやすくするため「古琴」、「七弦琴」と呼ばれることも多い。遣唐使などにより日本にも伝わり、源氏物語にも登場する。日本では忘れられ、江戸時代に儒学との関係で一部の武士などが愛好したが、一般に定着するには至らなかっ
た。

 一方、日本で「お琴(おこと)」と呼ばれる楽器は、中国から伝わった「筝(そう)」の系統の弦楽器。古い日本語では、弦楽器全体を「こと」と総称した、源氏物語では「琴(きん)」が「きむのこと(琴のこと)」、筝は「そうのこと」、琵琶は「びわのこと」と書かれている。日本では「琴(きん)」が知られなくなった影響で、「筝」も「琴」
の文字であらわし、「こと」と読むようになった。(編集担当:如月隼人)

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引用元:FF11 RMT